ユリイカ 2021年11月号 特集=綿矢りさ
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もうね、くだらない論稿が多すぎる!!!
三木那由他とか一部のぞいて「何が言いたいの?」レベルで中身がないし、中には驚くべきことに本当に小説の筋だけ書いてる人もいて、あまりのレベルの低さに言葉失った。ユリイカだからそんなもん、って言われればそうかもしれないけど、なんていうか、日本の評論とか批評ってだいぶ落ちてませんか??? そんな中でも「読める」のは村田沙耶香の原稿だったりするんだけど、その村田の原稿の何がなぜおもしろいかというと、描かれる対象が綿矢だからで......。 長嶋有なんかあまりにも下手すぎてなんじゃこりゃ?ってなったし。 じゃあ、この中でベストを選べと言われたら、圧倒的一位がエッセイ「光陰矢のごとし光陰矢の如し」だ。
お仕事について話すとき、芥川賞をもらったときはどんな風でしたか、と訊かれることが多い。二〇〇四年の、だいぶ昔の話なのでもうあんまり覚えてないですが、と言いつつ思い出話をさせてもらうのだけど、「あれからもうそんなに経ったんですね」と感慨深げに遠い目をしたり、ちょっと愕然とした表情で聞く方たちがいる。当時の自分が何をしていたかを話してくれる方も多い。他人の過去の思い出に自分が組み込まれているのを知ると、ほんのり暖かい気持ちになる。と同時に自分は、ずっと柱に掛かったままの鳩時計のようだとも思う。綿矢 りさ,のん,松岡 茉優,大九 明子,村田 沙耶香,武田 綾乃. ユリイカ2021年11月号 特集=綿矢りさ『インストール』『蹴りたい背中』から『勝手にふるえてろ』『かわいそうだね?』、そして『生のみ生のままで』『オーラの発表会』へ綿矢りさの20年 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.974-980). Kindle 版.
そう、綿矢本人の原稿が圧倒的におもしろい!!
お弁当のパセリ的にまぶされる漫画もあるんだけど、プロの漫画家さん、イラストレーターさんの漫画が単なるこなしのお仕事レベルでしかない中、ここでも一番おもしろい漫画を描いてるのが綿矢りさ......
もちろん絵は上手くはないのだが、もうネタが「あなたこのまま漫画家デビューできますよ」レベル。要するに読むと周りの人たちのつまらなさに「綿矢りさってやっぱ相当おもしろいんだ」と納得できる特集だった。
読んでよかったのは、綿矢自身が『ひらいて』執筆時を振り返り、「あの時はトランス状態だった」と言っていたり、「あれはよく書けた」と自分でも満足いっているようだっったこと。あー、やっぱり、って思った。自分もあれこれ読んでみたけど、今のところダントツで『ひらいて』だと思っていたし、ちょっと神がかっていたので「あのとき書いてたの自分じゃなかったわー」と綿矢本人が言ってるのを読んで腑に落ちた。
ユリイカなので「そんなもん」かもしれないけど、おべんちゃらっぽい論稿あるのも気になるな。綿矢に駄作なし!とか言ってる人いて、お前は「生のみ」を読んだんかい!と言いたくなる。あれも『あのころなにしてた?』という綿矢のエッセイ読むとわかるが、純恋愛ものを書いていたけれど、生活は一児の在宅ワーカー母だし、脳みそすべて全恋愛モードにしないと書けない!ってところにコロナがふってきて.....というコンディションだったので、上手く書けなかったのだと思う。